学校の成績を上げるために

「学校の成績を上げるにはどうしたらよいですか?」                                     親御さんと面談をすると、よく聞かれるのがこの質問です。はっきり言ってすぐに効果の出る対処法はないのですが、それでは身もふたもないので、こう答えることにしています。 

I  大人っぽく振る舞うこと。先生から見て、子供っぽいお子さんは評価が低いものです。ませたお子さんと思われることです。

II 授業中は先生をにらむようにすること。そういう生徒は、先生にとっては気になる存在です。へたな解説をすると、この子から間違いを指摘されそうだ…と思わせることです。興味・関心の評価も当然上がります。 

Ⅲ 皆が手を挙げている時は、分からなくても手を挙げること。当てられる確率は低いものです。もし、当てられた場合は少し考えて「忘れちゃいました」とでも言わせましょう。また、手を挙げる時は黙って挙げること。分かっている時でも、「先生、先生っ」と先生をせっついたり、思わず答えをぽろっと言ってしまうようではダメ。これでは単なる授業妨害をしていると受け取られてしまいます。先生はなんらかの意図があって生徒に質問をしています。その意図を壊すような手の挙げ方はNGです。 

Ⅳ 保護者面談の際は、お子さんの家庭での努力ぶりや親孝行ぶりなどを「控えめに」話すこと。親御さんのできる努力です。先生が自分の知らないお子さんの意外な一面を知ったかのように思わせることで、お子さんが授業中につまづいた時などに目に見えない効果として現れます。小学生ならば「うちの子はこんなものを書いています…」と言って、日記帳や読んでいる本などを持参するのも効果的です。

Ⅴ 忘れ物や連絡事項の漏れがないかは、親子でチェックする習慣を。

 以上ですが、基本的には「国語力」のあるお子さんに育てることが第一です。国語力とは、漢字・語い力と文章読解力を指します。読解力と漢字・語い力、暗記力には強い相関関係があります。御三家などに合格するお子さんは例外なく読書好きで、理屈っぽい。様々な分野に興味・関心を持っていて、大人も顔負けの博学ぶりであることもしばしばです。数学や理科、ときには哲学などで登場するような抽象的な表現が理解できるのもそのためです。どの教科にも教科書があり、それを読んで自分で理解する国語力があれば、将来も資格試験の勉強などが必要になったときに自分でなんとか対処できます。また、国語力のあるお子さんは、自分の中に「もう一人の自分」がいて、客観的に自分を見つめる目が芽生えています。子供というのは元来、自己中心的な存在ですから、テストでは「見直し」ができません。「見直し」ができるというのは、自分を第三者として客観的に見るという行為ですから…。

 このことを別の角度から言うと、同じ内申点ならば、国語力のあるお子さんは吸収力があるので入試直前で大化けするケースもあります。志望校が高めでも最終的にはどうにかなります。業界用語では「伸びしろ」のあるお子さんとも言えます。一方、国語力のないお子さんの場合、無理をして志望校を上げてチャレンジさせるのは危険です。漢字や語彙力が乏しいため、設問条件を読み間違えたり、長い文章だと読んでいて途中で何が書いてあるのか理解できなくなるケースも出てきます。なかには、問題文や設問を読んでいるだけで試験時間が足りなくなってしまった…というケースもあります。

 このような国語力は、反抗期を迎える前の小学生時代に身につけるのがよいでしょう。中学校に上がると部活動や他教科の学習が忙しくなって、十分に国語に時間を割けなくなります。読書習慣を身につけるのも小学生時代の方がしやすい。もちろん、男の子は小学5・6年生ともなると、ギャング・エイジと言って仲間と組んで外で遊ぶことが増えるため、読書習慣は消えやすくなりますが…。

 日常生活では、子供同士の会話だけにせず、大人との会話をする機会を増やすことが大切です。何処かへ出かけたときには、店員さんでも親戚の人でもよいので、大人との会話をさせるように仕向けることです。毎日「3行日記」を書かせて親子で交換するのもよいし、テレビのニュース解説を見たり、子ども新聞を読んだりしながら親子で意見を言い合うのもよいでしょう。お子さんの視野を広げて、客観的に自分を見つめる態度を身につける一助にもなります。親子の会話では、とかくお子さんに対して「早く〇〇しなさい」、「〇〇したの?」、「しっかり言いなさい」と命令調になりがちです。これは会話ではなく指示であり命令です。親子関係がこのような会話主体では国語力を身につけることは到底できません。たどたどしいお子さんの意見に耳を傾ける余裕と忍耐が親御さんの側に必要です。

 このように話した後で、「勉強は一日にして成らずですが、日々勉学に励んでいれば成績は後からついてきますよ。」と言うようにしています。そうすると親御さんは、ため息をつきながら「そうですよね」と言われます。

 

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