2学期もはや10月ともなると学校生活にも慣れ、部活動に邁進したり、アルバイトを始める生徒も出てくる。暑さも収まり学習には最適の時期となるのだが、どうやらこの頃になると、高校受験を終えて、塾を卒業した生徒の中にも決まって1人、2人…と塾に顔を見せ始める者が出てくる。懐かしさから来た訳ではない。その生徒曰く、「学校の勉強がまったくわからない」「このあいだの中間テストで赤点を取ってしまった」「50点でいいからチャッチャと点を取らせてほしい」と…。

 おまけに、学習習慣を失い、学校の先生の教え方が退屈で寝てしまう教科もあると言う。今自分が何を勉強しているのかもはっきりしない者もいる。それでいて、教科書等はすべて学校に置きっ放しで、何を学習しているのさえ不明だ。うろ覚えの学校の授業風景をなんとか思い出させながら、こちらが類推することになる。試験範囲もうろ覚え状態で、スマフォで友達にメールで教えてもらわないと試験日程さえもわからないという始末。少しましな生徒だと、先生が授業中に配布したプリント類は雑然と教科書にはさんであり、全ての科目の板書内容がルーズリーフ各1枚に書いてあるだけで、復習した形跡はない。こちらがビニール1袋の中のルーズリーフ1枚1枚を見ながら学習の痕跡をたどることになる。一体全体、彼・彼女に何が起こっているのだろうか。半年前には第一志望の高校に合格して、意気揚々と高校に進学していった生徒たちなのに…。

 思えば、当塾で高校生の指導をするきっかけとなったのは上記の生徒たちを救済するためだった。予備校では学校の補習には対応していないし、個別指導では金額が高額になりすぎて親御さんの負担が大変。それでいて、そういう彼・彼女たちも、AO入試や推薦入試で大学進学の意向を強く持っているから困る。高校の受験勉強による「学力の貯金」はすでに、夏休み前で使い切ってしまったようだ。

 入学してすぐの高校の授業は、中学で学習した内容の復習から入るのでそれほど難しいとは思わないこともあってか、1学期のテストではまあまあの得点が取れたことをいいことにしてサボり始める。すると2学期からの本格的な高校の学習に対応できなくなる。おまけに、学習する習慣もとっくの昔に失っているから、赤点地獄に転落するのも時間の問題なのだ。この傾向は、筆記試験で大学進学を目指す生徒が7割以上いる高校では見られない。AO入試や公募推薦入試で大学進学を目指す生徒が6割以上いる中堅高校で顕著に現れやすい。

 考えてみれば、高校での学習が一番大切なように思われる。どの大学/学部や学科に進学できるかに直接関係するからだ。自分の将来の職業にも密接に関係する。例えば、将来コンピューター関連の仕事に就きたいと思っていても、数学や物理ができなければ大学の授業についていけない。観光関係の仕事に就きたいのに英語ができなければ、夢を叶えることは難しいだろう。一流企業に入りたいのであればなおさらだ。高校受験よりも大学受験の方が重要だと気付くはずだ。中堅高校でも、AO入試や推薦入試でもいい大学に進学できる時代も追い風になっている。(親御さんの時代は、推薦入試は優秀な生徒のものだったが今は違う。少子化により大学側は定員を満たすためと多様な人材を求めて積極的にAO入試や指定校/公募推薦入試を活用している。私立大学では定員の約5割をこれで埋めている)

 しかも、中堅高校の生徒たちは日頃の学習量が少ない上に、学校のテスト問題も比較的易しいので、本人が少し頑張ればテストで高得点を取ることは案外簡単なのだ。一方、上位校に進学した生徒たちは学習習慣もあり、提出物も皆出す真面目な生徒ばかりなのに加えて、定期テスト問題もそれなりに難しく作られているので、生徒が少し努力した程度では得点はすぐには上がらないのに対して…だ。  中堅校の生徒にとってはここで努力しない手はない。一度学習のリズム(コンスタントに学習する習慣)を身につければ、どんどん得点は伸びる。クラスだけでなく、学年で上位の成績を取ることも可能だ。なぜならば、高校受験によって、生徒たちの実力は「輪切り」にされたため、中学時代の成績上位者は、別の進学校に通っていることに気づこう。自分のいる高校に在籍している生徒の実力には大きな差はないからだ。

 ただし、中堅校に通学している生徒が気をつけなければいけないことが1つだけある。それは、周りの生徒のペースに合わせないことだ。なぜならば、周りの生徒たちはあまり学習習慣のない者ばかりなので、そのペースに合わせると自分がダメになるからだ。「この前のテストで赤点ギリギリだったよ」「こんなのいい加減にやっておけばいいよ」「高校生活くらい楽しく過ごさなきゃ、青春終わっちゃうよ」などと…。自分もそんな風でいいんじゃないか…と誤解してしまうことになる。進学を決める高校3年生の秋になって気づいても「あとの祭り」である。君にとっての高校生活は、これから花開く自分の人生の「土台づくり」の時代であることを再確認してほしい。