最近の高校入試はどの都道府県もそうですが、「思考力・判断力・表現力」を問う内容に徐々に変化してきました。神奈川県の場合、採点ミスが発生、客観性を担保するために「マークシート方式」が導入されました。そのため、記述式問題の割合は1〜2割に制限されていますが、設問に工夫を加えることで、思考力・判断力を見る問題に難化しました。平均点は100点満点で40〜56点に抑えられています。書店などで最近の神奈川県の公立高校入試問題をご覧になって頂くとわかるように、かつて「ゆとり教育」の時代には神奈川県の高校入試問題は47都道府県のうちでも最も簡単な部類に属していましたが、現在では最も難しい部類に様変わりしました。

 これは、現高校1年生が大学受験をする2021年度から変わる大学入試共通テスト(現在の大学入試センター試験の後継版)に備えてのことです。結局、記述問題の出題に関しては、採点基準の不明確さと採点そのものに時間がかかりすぎるために大幅に後退しました。また、英語については、4技能(話す・聞く・書く・読む)に沿った英検やGTEC、TOEICなどの外部の英語検定資格試験への委託が注目を集めています。でも、大切なことはその趣旨を理解することです。産業界や教育界(日本)が今までの日本の入試制度によってはかられる「学力」ではなく、新しい学力を求めているからです。そんな時代に否応なく日本の若者たちが突入するからです。

  仕事の手順を理解・暗記して、上の指示のもとで効率よく仕事をすることから、今までに経験したことのない状況や局面に対し、自ら課題を見つけ、自ら解決策を考え、他国の人とも共同して取り組むことのできる人材を育成しなければ、日本の繁栄は途絶えてしまうだろうという危機意識からはじまったからです。かつての発展途上国の技術革新・経済の繁栄による追い上げと、AIやロボットの進化によって、15年後には今の職業の半分がなくなり、それに変わって新しい職業が登場する。そのための意識改革が理由です。例を挙げると、自動運転装置の開発によって、トラックやバスの運転士がいなくなったり、アマゾンなどのネット販売が主流になることで、個人商店やスーパーなどの業態が変わったり、薬のネット販売の自由化が進むと、個人薬局が姿を消すことも考えられます。お客様対応や入社面接も、1次審査はAIで行う企業も出てきています。英語も話す・聞く能力の重要性が取り沙汰されていますが、これとてもAIによってスマフォに自動翻訳装置が組み入れられるのも間近です。もちろん、英語以外の外国語も使えるようになります。そうなると、日本人の海外活動も外国人による国内活動も今の比ではなく、もっと活発となるでしょう。ネット配信により「国境」という言葉が死語になります。15年前の我々に今の日本の変化を想像することができたでしょうか? 変化のスピードは加速しています。今から15年後には「宇宙旅行」をすることさえも夢ではないでしょう。まさに今の時代の我々にとっては「SF映画の世界」に突入するようなものです。

 このような時代の変化に対応して「幸せな生涯」を送れるようにするために、この入試改革があるのです。もちろん、その先の大学での教育も変わることが求められています。変わることのない確かな「基礎学力」と、時代に対応した「応用教育」の2つが求められているとも言えます。その象徴が「入試制度」です。その魁(さきがけ)として、公立中高一貫校が全国の自治体で開校しました。その数は200校を数えるまでになりましたが、これ以上増える兆しはありません。それは、地方自治体にとって公立中高一貫校の開校は、財政面の負担がとても重いからです。日本が儒教を捨てて「明治維新」を成し遂げた時、中国や韓国では長い間「科挙試験」が行われており、大学や中庸などの古典の暗記が「官吏登用試験」の中心だったために、「近代化」が遅れた…とも言われています。それほど「入試制度」は大切です。