わが塾は、お子さんにとっての「第二の勉強部屋」

 わが塾は地元密着の個人経営の小さな塾です。この地に誕生してはや14年が経ちます。その「小さな塾の利点」=「指導に小回りが効く」ことです。それを活かして、一人ひとりの学習状況に合った指導を地道に行っています。また、お子さんが「勉強」だけできればそれで良い…とは考えていません。礼儀や社会常識についても、折に触れて諭すこともあります。

 生徒には、この塾を「第二の勉強部屋」として活用して欲しいと思っています。中間・期末テスト前や高校入試が近づくと、塾で学校の宿題をやったり、受験勉強をするお子さんも多くいます。塾だと、わからないことをその場ですぐに先生に聞けるという便利さがあるからかもしれません 。また、他のお子さんが勉強している姿を見て刺激を受けやすいこともあります。

 最近では子供部屋のないご家庭は少ない様ですが、お子さんに言わせると、自分の部屋は「くつろぐ部屋」であって「勉強する部屋」ではないそうです。学校の宿題などは、皆がガヤガヤとしている居間や食卓のテーブルの隅でやる…と答える生徒がほとんどです。ちなみに、勉強机の上は趣味のマンガやゲームの本などで乱雑になっているとのこと。さらに不思議なことに「自分が勉強しているところを親に見られたくない」という「へそ曲がり」とも「反抗期」ともつかないお子さんもいます。

 そんなお子さんには、塾は「第二の勉強部屋」としてふさわしい様です。「自習室」というと聞こえはいいのですが、どちらかと言うと、お子さんの求めているのは、衝立ての向こうで先生が他の生徒の指導をしているような雑然とした場所で勉強したがります。一人ひとりが板で隔離し整備された「自習室」然とした場所ではなく、ちょうど家の中の食卓や居間のテーブルの隅のような環境の方が落ち着く様です。大人から見ると「なぜこんなやかましい所で…」とお思いでしょうが、彼等の感性では違うようです。あまりに整いすぎた環境よりも、粗末なみかん箱の上で勉強する方が身が入るという心理が働くからでしょうか。

 そういう折には、お子さんの様々な相談に乗ることもあります。部活動のこと、勉強のこと、進学のこと、友達関係のこと、いじめ問題のこと…などです。そういう時間を共有することを通して、お子さんとの人間関係が深まるのです。今でも、卒塾した後も何度となく顔を見せてくれるお子さんもいます。成人式の帰りに晴れ着姿を見せにきてくれる卒塾生や、結婚や就職の報告をしてくれるお子さん、母親となり乳飲み子を乳母車に乗せて連れて見せに来てくれる元塾生も…。中には、大学のレポートの相談を受けることや、就職活動前の「エントリーシート」の書き方について聞きに来る卒塾生もいます。

 考えてみれば、一番長くて小学校2年生から高校3年生までの11年間も当塾に通塾してくれたお子さんもいます。学校の先生は、小学校、中学校、高校と分かれており、お子さんの姿を2〜3年くらいのスパンでしか見守っていない様ですが、塾をやっていると、まだあどけない頃から反抗期を迎え、自立していくまでの長〜いスパンを、ずっと見守り続けることができます。 そんな時ほど、私の人生の中では、「塾教師というものは、とても不思議な職業だなあ…」と深く感じ入ることがあります。

 大手塾の講師の中には指導してきた生徒が1000人を超えた…と自慢する方もいますが、私としては数多くの学習塾の中から当塾を選んでいただいて、そのご縁で一人のお子さんと出会えたことの方が何よりも大切なことに思えます。

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