2月3日に実施された平成31年度の横浜市立南高附属中学校の「適性検査問題I・II」から、いわゆる「難問」と言われた問題が姿を消した。どれもオーソドックスな問題となり、得点しやすくなった。問題冊子のページ数も、従来の26ページを超えていたものが18ぺージまで減っていた。従来の合格ラインは正答率が4割程度と言われていたが、今年度は5割程度の正答率が欲しいところだ。以下、もう少し適性検査問題を分析してみよう。

 「適性検査I」は、横浜市立サイエンス・フロンティア高附属中学校と共通問題となった。それだけではなく、従来の「文章を参考に自分の考えを書かかせる」タイプの作文(250字程度)がなくなった。問題配列も、複数の資料・グラフから問題の指示に従って類型化・分類する問題が先にきて、2つの文章を読んで、その共通点を50字程度でまとめる問題と1の文章を300〜350字で要約する問題だけとなった。受検生にとっては問題数の軽減と取り組みやすい配列という2点のお陰で、従来の同校の適性検査問題よりも解答しやすかったことであろう。

 なお、今年度の適性検査問題Iは、問1が「様々な方言の地域分布図」を見て類型化する問題と、問2は「日本語の文章を横書きにすることによる心理的影響(長い文章)」と「方言の消滅を防ぐには(短い文章)」の2つの文章の共通性と要約を書かせる問題であった。

「適性検査II」は大問4題で、咋年度まで難解だった図形問題が姿を消し、小6生で答えられる問題数が大幅に増えた。標準化したとも言えるだろうか。ちなみに、今いる小5生に解かせても、ある程度正解できる問題が複数問あったのには驚いた。昨年度までは、小6後半で演習として使っても厳しい問題が多かったことを鑑みても…。

  問1は、時刻に関する問題。815334秒=10日10時28分54秒に変換させる問題から始まり、江戸時代の不定時法を使った計算問題であった。計算力さえあれば正解できる。問2は、「てこのつりあい」を使って、竿秤(さおばかり)の目盛りを刻む問題、問3は、サイコロを転がして目の数を当てる問題で、最後まで解くのはしんどいが部分点は期待できる。問4は、完全オリジナル問題で、製造過程の違いによるチーズの分類とアミノ酸の構造の類推問題であった。

 このように、横浜市立南高附属中学の適性検査問題がなぜ標準化したのか考察してみた。

1つには、ようやく1期目の大学合格実績ができて、設立当初の周りからの「過剰な期待」に一段落つき、高校側も入学当初の適性検査の成績やその後の模試の推移を分析して、どの様な素質のある生徒が実力向上しやすいのかのメドが立ったことが挙げられるだろう。また、横浜市議会でも、南高附属中学校の適性検査問題の難しさが、「これでは一般の小6生が解けるレベルを大きく逸脱してはいないのか…」と問題になったことがあると聞く。

2つ目は、横浜市立南高附属中学校の適性検査の受検倍率の落ち込みが原因ではないかいと思う。横浜市立サイエンス・フロンティア高附属中学校の開校により、それまで7〜8倍あった受検倍率が、男子は4.3倍まで下がっていることへの危機意識が働いたのではないだろうか。へたをすれば3倍まで落ち込んでしまうのではないかと…。一方の横浜市立サイエンス・フロンティア高附属中学校の適性検査問題には、いわゆる「難問」と呼ばれる問題が少ない。そのため、受検生がそちらへ流れていくのを食い止めるためにも問題の標準化に向かわざるを得なかったのではないだろうかと。ともあれ、来年度の受験生にとっては好ましい変化である。歓迎したい。

 もしかしたら、横浜市立南高附属中学校を受検することは、小6男子には倍率がかつては7〜8倍だったものが、現在は4.3倍と言うことと適性検査問題の難問が消えつつあることを考慮するとお得な受検なのかもしれない。

 

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