PISA型学力観こそ未来の子どもに必要な資質

横浜市立南高等学校が、付属中学校を開設し公立中高一校に生まれ変わったのを契機に、当塾でもその対策コースを設定しました。お陰様で合格者を出すまでとなりました。
 これを通して、これからの子供たちの教育はどうあるべきか考えることができました。
 それは、PISA型学力観に基づいた教育ではないかと思うこのごろです。バブル経済がはじけた頃から学校現場では、先行き不透明な現代社会において、今まで体験したことのない難題が次々と身の回りに起きる時代に日本も突入したとの認識に立ったのです。今までのように学校が用意した問題をそつなく賢く解く能力よりも、今ある手持ちの知識や方法を駆使して、今までに見たこともない問題を解決する能力こそが必要ではないのかという議論されてきました。

 いわゆる、官僚型の秀才ではなく、アップル社の故ジョブズ氏のような独創的な人材の育成こそが、次世代のリーダーにふさわしいとの結論が出されたのです。ここで言うリーダーとは、人の上に立って支持する立場の人間ではなく、皆と汗水流しながらも、強い信念と責任感を持って、みんなに行くべき方向を指し示す人と考えてもらうとわかりやすいでしょう。「嵐の中でも旗を振り続ける人」と言い換えることもできます。

 そいう人材の育成のための入学試験では、中学受験のような膨大な知識やテクニックを習得したお子さんより、生きる知恵=地頭(じあたま)を持ったお子さんを預かって養成しようとの試みが、公立中高一貫校なのだと…。

 この考えは、何も公立中高一貫校を目指すお子さんだけに求められる能力ではなく、広く普通のお子さんにも求められる能力だと考えています。当塾で、理科実験や子ども新聞作りや時事ニュースの解説や調べ学習などの取り組みをすることを通じて、自分で考え、自分で解決する能力を養うことは、これからの日本社会にとって不可欠な能力のように思っています。

 昨今の公立高校の入試問題も、生徒のそういう能力を見ようとしているように思えます。新しく追加した問題は、知識というよりも、資料を分析してそこから言える事を記述する問題が多く、まさに、PISA型学力観の恩恵であろうと思われます。また、旧学区のトップ高校が実施している「特色検査」こそ、科目横断型の総合的な解決能力を見ようとする試みのように思えます。
 そいうことを感じながら、公立中高一貫校の適性検査対策に取り組んでいる今日この頃です。

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